基本的な飼育方法
飼育ゲージ
なるべく頑丈で蓋や扉は錠が付いているケージを選びましょう。
飼育用品の出し入れや餌やり、掃除することも考えて扉のタイプも選びましょう。
大抵のケージはケーブルなどを通せる孔もついているので、保温器やセンサーなどの配置や取り回しも考えてケージを選ぶといいと思います。
餌
餌は主に小型の哺乳類や小鳥で冷凍された餌を解凍して与えます。
ヘビによっては昆虫や鳥の卵などを食べるものもあります。
ヘビは好き嫌いが激しくえさのえり好みをするので、飼育しているヘビの食いつきの良い餌を常備できるようにしましょう。
マウスあるいはラットを餌として与えるヘビの場合、胴体の一番太い部分と同じ大きさであれば飲み込むことができます。ヘビの成長に合わせて与えるえさの大きさを調整しましょう。
餌の頻度は以下を目安にしています。
ベビー:3日、4日に1回程度
亜成体:1週間から10日に1回
アダルト:1ヶ月に1,2回
温度と湿度管理
飼育するヘビの種類によって適温が変わりますが、飼育適温が30度と高温になる場合もあります。
なので、保温器具(保温球やパネルヒーターなど)が必要になります。
特に冬場は空調で室温が低くなりすぎないように注意しましょう。(20度は下回らないようにしましょう)
保温球はケージの温度を一定に保つためにサーモスタッドも必要になります。
保温器具は飼育ケージの中で温度差ができるように設置すると良いです。
また、保温球はヘビが触れて火傷しないように火傷防止用のネットを付けましょう。
ヘビは比較的高い湿度を好む種類もいます。必要に応じて霧吹きをしたり、加湿器を使用しましょう。
ヘビの品種ごとの適正温度と湿度の目安
ヘビの品種 | 温度 | 湿度 |
コーンスネーク | 25℃~28℃ | 60%~70% |
ボールパイソン | 28℃~32℃ | 45%~60% |
カーペットパイソン | 28℃~32℃ | 50%~60% |
ブラッドパイソン | 28℃~32℃ | 70%~80㌫ |
床材
ケージの床に敷く床材は飼育環境の衛生面だけでなく、保温機能や湿度にも影響を与えます。色々な床材があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。以下は一般的に使われる床材の一例です。飼育する個体や飼育環境に合わせて床材を選ぶといいでしょう。
メリット | デメリット | |
アスペン | 排泄で汚れた部分だけ取り換えればよい 保温保湿性が良い ヘビが潜れるのでシェルターの代わりになる | 餌に付きやすく誤嚥の可能性がある |
バークチップ | 見栄えが良い 保温保湿性が良い | 排泄した時、掃除がしにくい |
ペットシーツ | 製品によっては抗菌、防臭効果がある 汚れた時の掃除が楽である 特に尿量の多いブラッドパイソンに向いている | ペットシーツの下に潜り込むことがある 給餌で歯が引っ掛かる可能性がある コストがかかる場合がある |
水入れ
ヘビがとぐろを巻いて入れる程度の容器があると良いです。
水を飲む以外にも脱皮の際に役に立つことや後述のシェルターの代わりにもなります。
水は汚れやすいのでこまめに交換しましょう。
シェルター
ヘビは広い所があまり得意ではない為、隠れるためのシェルターがあると良いです。あまり軽いシェルターだとひっくり返したりすることもありますが、重さによってはヘビがシェルターをひっくり返した時にケージの破損の原因になります。環境に合わせて選びましょう。
また、水入れや保湿用の水苔の入ったタッパーなどもシェルターの代わりになることがあります。
ヘビの種類によっては巻き付いたりするための止まり木や流木があると安心できる場合もあるのでヘビの種類や特性に応じて環境を整えましょう。
脱皮
脱皮の間隔や頻度はヘビの種類や個体差があります。脱皮の前兆として体や目がくすんだり白くなります。脱皮の期間は湿度をある程度高めになるようにしましょう。
脱皮がうまくできず、脱皮不全で皮が残ると乾燥して癒着したり、締め付けられて血行障害が起こり、壊死してしまうこともあります。自然に脱皮できない場合、無理をせず霧吹きをしたり温浴したりして皮を柔らかくしてから優しく剥がしてあげてください。
また、脱皮不全を繰り返す場合は湿度やケージの内装(ヘビが脱皮のために体をこすり付けるものがあるか)など見直をして自力で脱皮できるよう環境を調整してあげましょう。
排泄
排泄はそう排泄腔と呼ばれる穴から排出されます。尿酸と呼ばれる薄黄色の液体や白色の固形物と排便を行います。ヒーターでお腹を温めすぎたり、気温が低かったりすると尿酸塩の塊が大きくなったり、便が硬くなったりすることがあります。
排泄の間隔が長いこともありますが、あまりお通じが悪いようなら湯浴をしたり、マッサージなどをするとよいです。メスの場合は卵が詰まるという事もあるので、何か月も排便がなく餌の食べも悪いようなら動物病院などで診てもらった方が良いかもしれません。
拒食
ヘビが餌を食べなくなる原因は様々ですが、例えば、脱皮前などになると餌を食べなくなることが多いようです。季節性の拒食もあったり、餌の好みが変わるという事もあるでしょう。
また、飼育環境が原因(温度や湿度、床材の種類やシェルターの形状など)となることもあるのでヘビの飼育環境を整えることで改善する場合もあります。餌を変える(マウスをヒヨコにしたり、生餌にする)ことで食べるようになることもありますが、餌の入手が難しく供給が追い付かなかったり、栄養のバランスが崩れることもあるので注意が必要です。
また、病気の予兆などもあるので日頃の様子や給餌や脱皮、排泄の間隔などの記録を取っておくと受診の際に参考になります。
ヘビの大きさにもよりますが、亜成体からアダルト以降の個体で半年以上食べなくても平気な事もあります。特にヘビの背骨やあばらが浮き出るようなら強制的な給餌も必要になるかもしれませんが、エキゾチックアニマルに精通した動物病院などで相談した方がいいと思います。

ヘビの種類と特徴
コーンスネーク
餌の食い付きが良くヘビの中では小型で飼育がしやすい印象があります。
北米に生息するナミヘビの仲間です。
カラーバリエーションと背中のブロッチと呼ばれる斑紋が豊富に存在します。
名前の由来も背中の斑紋がトウモロコシ(corn)に似ていることから来ています。
体長は平均して100㎝前後で飼育下で10年前後は育成できます。
ボールパイソン
体長は100㎝~150㎝ほどで、頭が小さく胴が太いずんぐりむっくりした体形をしています。
ピット器官と呼ばれる赤外線を感知する器官があるので、暗がりでも獲物の場所がわかるようになっています。
性格は大人しく臆病な所があります。名前の由来も身の危険を感じると頭を中に入れ丸くなる所から来ています。
寿命は15年程度と比較的長いです。
カーペットパイソン
広い地域に亜種が分布しています。
自然下では半樹上性で小型の哺乳類、鳥、トカゲなどを捕食しています。
比較的大型なので大きめのケージで飼育する必要があり、日光浴を好むのでバスキングライトが必要になります。
ケージ内の温度は平均して28度になるように設定し、部分的に32度になる場所を作り、夜間は1~2度低くなるように設定すると良いです。
また、野生では半樹上の生活を行っているので登り木があると良いです。
ブラッドパイソン
ブラッドパイソンと呼ばれるヘビはスマトラ、マラヤン、ボルネオの3種類あります。
名前の由来は体が赤いことからブラッドパイソンと呼ばれますが、この呼び方は主にマラヤンブラッドパイソンを指します。
他の2種は近縁ではなく名前もそれぞれスマトラショートテイル、ボルネオショートテイルと呼ばれることがあります。
ボルネオは黄色、スマトラが黒系、マラヤンは赤系ベースの体色になります。
ブラッドパイソンは比較的荒い性格をしていますが、スマトラとボルネオは比較的おとなしい個体が多いそうです。
寿命は25年から30年程度ですが、運動不足と過剰な給餌が肥満の原因になりやすいので注意が必要です。
また、日光浴はしないのでライトは観賞用程度でよいですが、多湿な干渉を好むので全身が浸かれる水容器が必要になります。
